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自殺という大罪には『無』という名の罰を
赤目:容姿すらわからず、暗闇の中で赤く目が光るため自ら赤目と名乗る
少女が暗闇の中にいる理由を知りながらあえて言及せずに思い出させようとする
その正体は地獄の管理人
少女:暗闇の中で目を覚ました少女。暗闇のなかにいる理由がわからなかったが、赤目に
なぜここにいるのかを思い出させられ、悔いていく
赤目(不問):
少女(♀) :
(あたりが真っ暗な、光すらも届かない闇。その中で少女は目を覚ます)
少女:んっ…うぅ…え?…ここ…どこ?
赤目:おや、目が覚めたようだねぇ~…
少女:っ!?だ、誰!?どこにいるの!?
赤目:振り返ってごらん?
少女:えっ…
(少女がおそるおそる振り返ると暗闇の中に赤く光る眼が浮かぶように現れる)
赤目:やぁ…
少女:ひっ!?
赤目:怖がらなくでいいさ。
少女:あなたは…誰なの?
赤目:そうだなぁ…とりあえず赤目と呼んでくれ
少女:…あ、赤目さん…ここってどこ?…
赤目:う~ん…教えてあげられないなぁ…
少女:なんで!?
赤目:どうして教えてほしいんだい?
少女:私は帰りたいの!
赤目:どこに?帰る場所って君にあるのかい?
少女:どこって!そりゃあ…
赤目:残念だけど…君はここから帰れない
少女:なんで!!
赤目:君は…なぜここにいるのかわかってる?
少女:それは…
赤目:それをわかってもらわないと君は帰れない…
少女:じゃあ教えてよ!
赤目:無理だ。これは君が思い出さないといけないんだよ
少女:そんな…
赤目:じゃあ…思い出してごらんよ。君がなぜここにいるのかを
少女:…
(少女は必死に思い出そうとするが思い出せず)
赤目:どうだい?思い出せたかな?
少女:…思い出せない…なんで…なんで!!
赤目:落ち着いて?ゆっくりひとつずつ思い出そう。そうだなぁ…質問形式にしようか
少女:質問形式?
赤目:そうだ。ひとつずつ思い出せるかもしれないよ?
少女:うん…
赤目:じゃあ質問していこうか。君は…ここで目を覚ます前に何をしていた?
少女:私が…ここで目を覚ます前…
赤目:そうだ。君が目を覚ます前だ…ゆっくり思い出していこう…
少女:私は…私は…目を覚ます前に…っ!?
赤目:思い出したかい?
(少女は苦しみながら思い出したことを口にする)
少女:私は…ここで目を覚ます前に…自殺…した…
赤目:そうだ。ここに来る前に自殺した…
少女:……
赤目:じゃあ…次だ。なぜ君は…自殺したんだろうね?
少女:…私は…そうだ…私は…世界に絶望して…
赤目:なぜ君は絶望したのかな?
少女:誰も…私を助けてくれなかった…
赤目:何から助けてくれなかった?
少女:いじめ…から…みんな見ていたのに…知っていたはずなのに!
赤目:それで…?
少女:私は…楽になりたくて…
赤目:それで自殺したと…
(少女は突然うずくまる)
少女:…あ、あぁぁぁぁぁ!!やめて!やめてぇ!
赤目:これはまずいなぁ…
少女:痛い!痛い!!
赤目:いじめられた時の記憶も思い出してしまったようだな…ちっ…面倒な…
少女:ごめんなさい…ごめんなさい!痛い…苦しい!!
赤目:あぁ~…ほら、落ち着いて?深呼吸深呼吸
少女:(過呼吸)
赤目:…ほら深呼吸
少女:はぁ~…ふぅ~…はぁ…はぁ…
赤目:落ち着いた?
少女:…(うなずく)
赤目:よし…よかった。これから大事な話をしないといけないからね。
少女:…大事な…話?
赤目:そう…君は楽になりたいと思って自殺したんだよね?
少女:うん…いじめられるのはもう…嫌だったから…
赤目:でもね…残念ながら楽になることはできない。
少女:えっ…
赤目:当たり前だろう?
少女:そ、そんな…
赤目:まさか…来世に期待していたとかいわないよね?
少女:っ!?
赤目:残念ながら来世なんか君にはない。当然だろう?
少女:…だって…死んだら…
赤目:天国に行けると思ってた?…残念だ。
少女:…天国じゃ…ないの?
赤目:…ハハハハ!まさか…こんな暗闇なところが天国だと思ったの?
少女:…じゃあ…ここは…地獄?
赤目:そう!ここは地獄だ…
少女:…そんな…
赤目:君は…楽になろうとして、逆に永遠に苦しむことになった
少女:私は…私は…ただ!
赤目:あのさぁ…君は自殺は楽になれる手段と考えているようだけど…違うからね?
少女:…え?
赤目:ほら…上を見てごらん?
少女:上?
(上を見上げるとかすかにオレンジ色の光が見え、苦痛に苦しむ声が聞こえる)
赤目:あの明かりみえる?あれは上層の明かりなんだ
少女:…上があるの?
赤目:あぁ…上は一般的に人間が思っているような地獄。罪に対して罰が下る。
少女:罰…
赤目:君はさ…どんな罪が一番重いと思う?窃盗?詐欺?動物虐待?それとも殺人?
少女:…人を殺すのが一番罪が重いでしょ?…違うの?
赤目:違う…一番罪が重いのは自殺だ。
少女:えっ!?
赤目:当たり前だろう?自分で自分を殺すんだからさ…
少女:…
赤目:君は人間の義務って何か知ってる?
少女:…人間の義務…
赤目:それは『生きる』という義務だ
少女:っ!?
赤目:自殺はその生きるという義務と命を自ら放棄する…だから一番の大罪なんだ
少女:…そんな…じゃあ…私にも罰が…下るの?
赤目:いや…罰はもう下ってる。
少女:え?
赤目:君はこの闇の中にいる。それが君の罰。あたりを見てごらん?
(少女はあたりを見渡す。そこは何もない闇そのもの)
少女:なにも…ない…
赤目:そうだ!なにもないんだ!自殺はただ…失うだけ…
少女:…
赤目:君は…家族も…友達も…そして自らの光ある未来までも!…失った…
少女:あぁ!…そんな…そんな…ごめんなさい…ごめんなさい!…
赤目:いまさら後悔?もう遅い…君はこの闇の中で、上の苦痛の悲鳴を聞きながら自らの犯した
大罪を悔い…彷徨うんだ
少女:う、うぅぅ…(すすり泣く)
赤目:それじゃあ…さようなら…永遠に罪を悔いていけ…
少女:待って!…いかないで!お願い…ひとりに…しないで!!
間
少女:…暗い…怖い…苦しい…誰か…誰か…
赤目:…自殺に対する罰は『無』…何もない…ただ失う…それが自殺への罰…